水天宮(東京都中央区)を訪問しました
水天宮(→東京都中央区日本橋)は、江戸時代後期の1818(文政元)年に久留米(→福岡県久留米市)藩主有馬頼徳(よりのり)が、三田赤羽(→東京都港区)の久留米藩上屋敷に久留米水天宮を勧請したのが始まりです。1872(明治5)年に現在地に移りました。安産・水難除けの神として崇敬され、都市型の免震構造のコンクリートの箱の上に社殿が建つという首都東京ならではの神社です。
祭神には平安時代末期の1185(寿永4)年3月24日の壇ノ浦合戦で入水した安徳天皇と二位尼(にいのあま→平清盛の妻)、入水したものの助けられた高倉天皇の中宮平徳子(→平清盛の娘)などが祭神として祀られています。二位尼と平徳子、平徳子と安徳天皇という母子が一緒に祀られていてよかったです。創建以来、久留米有馬氏との関わりが強く、現在の宮司も有馬家の17代当主が務めています。





































〖祭神〗
・天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
・安徳天皇(→高倉天皇と建礼門院の子)
・二位尼(平時子 →平清盛の妻、建礼門院の母)
・建礼門院(平徳子 →平清盛の娘、高倉天皇の妻)
〖摂社〗
・宝生弁財天(市杵島姫神社)
→久留米藩下屋敷に祀られていた弁財天を安置。
・火風神社
・秋葉神社
・高尾神社
・安産子育河童
・子宝いぬ
『平家物語』先帝入水
今年は春先にフジテレビ系列で『アニメ平家物語』が、そしてNHK大河ドラマが『鎌倉殿の13人』ということもあり、安徳天皇がテレビ画面上で何度も登場しためずらしい年です。鎌倉時代に成立した軍記物語の『平家物語』は盲目の琵琶法師による平曲(→琵琶の伴奏をつけて語りつぐ)により広まりました。中学校2年生の国語では必ず冒頭の「祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)」を学び、暗誦させられると思います。高校になると、教科書にもよりますが「先帝入水」で安徳天皇が入水される場面を学びます。『アニメ平家物語』でも先帝入水のシーンはさすがにぐっとくるものがありました。そのシーンに原文(の一部)と口語訳をつけてみます。

(画像: 『アニメ平家物語』11話)
口語訳: 安徳天皇は今年8歳になられましたが、お年のほどより遥かに大人びていらっしゃって、そのご容姿は端麗、あたりも照り輝くばかりで、御髪(おぐし)は黒くゆらゆらとして、お背中の下まで垂れ下がっておられます。そして、戸惑われたご様子のまま、「尼ぜ、私をどこへ連れてゆこうとするのか。」と仰せられたので、

(画像: 『アニメ平家物語』11話)
口語訳: この国は粟散辺地(ぞくさんへんじ)と申して、厭(いと)わしい(→つらい)所でございますから、この尼が極楽浄土というありがたい所へお連れ申し上げますよ。」と、(二位尼は)泣きながら申し上げなさったので、

(画像: 『アニメ平家物語』11話)
口語訳: (安徳天皇は)山鳩色の御衣に、びんづら(→みずらという髪型)をお結いになり、そのお顔中を涙でいっぱいにされ、小さい美しいお手を合わせ、まず東を伏し拝み、(皇室の祖先とされる)伊勢大神宮にお暇(いとま)を申され、それから西に向かわれて南無阿弥陀仏とお念仏を唱えられましたので、

(画像: 『アニメ平家物語』11話)
口語訳: 二位尼は即座に、安徳天皇をお抱き申し上げ、「波の底にも都がございますよ。」とお慰め申し上げて、(船端より飛び、)千尋の海底へお入り(→お沈み)になりました。

(画像: 『アニメ平家物語』11話)
口語訳: 何と悲しいことでしょう。無常の春の風は、たちまち安徳天皇の花のようなお姿を吹き散らし、何と痛ましいことでしょう。分段(→仏教思想で六道で輪廻を繰り返す人間の運命)は(壇ノ浦の)荒波と化して、安徳天皇のお体を(海の底に)お沈め申し上げる。
【水天宮】


















【摂社】










【回廊】



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コメント
Re: すごい
コメントありがとうございます。
無常なのは平家一門だけでなく今を生きる私達も同じだな、と改めて考えさせられました。
2022-07-08 14:42 副会長 西住りほ URL 編集
すごい
勉強になりました
2022-07-08 07:08 えまみ URL 編集
Re: 安徳天皇
コメントありがとうございます。
今年の春先に『アニメ平家物語』がやっていたのでタイムリーでした。
高校の古文教科書によっては「先帝入水」が掲載されているかもしれません。
当塾では「木曾殿の最期」を学習する高校生が多かったです。
2022-06-29 18:30 副会長 西住りほ URL 編集
安徳天皇
訳がついていて古文の授業みたいで分かりやすいです
2022-06-29 14:22 なお URL 編集