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靖國神社(東京都千代田区)を訪問しました

靖國神社(→東京都千代田区九段北)は、1869(明治2)年6月29日に明治新政府によって建てられた「招魂社」に遡ります。近代国家建設の過程でおきた戊辰戦争(1868年1月~1869年5月)で戦死した官軍将兵の鎮魂とその事蹟を後世に伝えるために明治天皇の発願という体裁で建設されました。
1877(明治10)年の西南戦争を経て招魂社は1879(明治12)年6月4日に「靖國神社」と改称されて、現在に至ります。なお、「靖國」とは「國を靖んずる(→国家を平和にする)」という古代中国の『春秋左氏伝』から採られています。

靖国神社には戦争博物館としての「遊就館」があり、帝国陸海軍の創設から解体まで、その歴史が詳しく学べて勉強になる施設です。政治思想がどうこうと重苦しく考えず、普通の神社・博物館として見学すればいいと思います。人気ゲーム(→艦隊これくしょんなど)の影響からか若い女性参拝者も多くいました。「遊就館」については明日ご紹介いたします。


〖祭神〗
明治維新期の殉難者
戊辰戦争の殉難者
西南戦争の殉難者
日清戦争の殉難者
日露戦争の殉難者
第一世界大戦の殉難者
満州事変の殉難者
日中戦争の殉難者
太平洋戦争の殉難者

靖國神社には軍人だけでなく、幕末の志士(→佐幕派以外)、従軍看護婦や女学生、勤労動員中に軍需工場で亡くなった学生など軍属、日本人として戦った植民地出身の兵士(→朝鮮人・台湾人)など、身分や勲功・民族・男女の別なく246万6000余柱が祭神(→靖國の大神)として祀られています。この中には、シベリア抑留の犠牲者、極東国際軍事裁判(東京裁判)でA級戦犯として刑死した7名も含まれています。ただ、太平洋戦争だけでも330万人以上の国民が亡くなっていますが、数が合わないのは祭神として祀る対象でなかったり、身元が判明しないことが大きいのだと思われます。

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【九段坂】
靖國神社の参道前の坂です。九段坂の向かいには江戸城(皇居)の田安門があります。

九段坂


【境内案内図】
靖国神社境内


【第一鳥居(大鳥居)】
1921(大正10)年に日本一の大鳥居として誕生しましたが、長年の風雨で損傷が激しく太平洋戦争中の1943(昭和18)年に撤去されました。現在の大鳥居は昭和時代後期の1974(昭和49)年に再建され、平成時代末期の2018(平成30)年に塗装工事が行われました。高さは25ⅿあります。

大鳥居0

第一鳥居1

第一鳥居2

狛犬1

狛犬2

燈籠1


【慰霊の庭】
各種忠魂碑、慰霊の泉、各都道府県のさくら陶板などがあります。夏場にはひんやりとして涼しい場所です。意外にも家族連れや地元の女子中学生がここのベンチで談笑していました。

慰霊の庭1

慰霊の庭2

慰霊の庭3

駆逐艦


【出征を見送る家族の像】
令和時代初期の2020(令和2)年に建立された像です。「國を靖んじる」という名の通り平和への願いが込められているのでしょう。

出征を見送る家族の像1

出征を見送る家族の像2

出征を見送る家族の像3


【母の像】
苦難と孤独に耐えながら子供を育て上げた戦争未亡人への敬意と感謝を込めて昭和時代後期の1974(昭和49)年に建てられた像で、成長した子供たちがお金を出し合って奉納したそうです。

母の像


【大村益次郎像】
大日本帝国陸軍の創設者で靖國神社の創建に尽力し、志半ばで暗殺された長州藩士です。1866(慶応2)年の第2次長州征討や1868(慶応4)年の上野戦争(→戊辰戦争の1つ)で徳川方を破る活躍をしたことで、明治時代中期の1893(明治26)年に建てられ、平成時代末期の2018(平成30)年に塗装工事が施されました。好き嫌いは人それぞれです。

大村益次郎像


【第二鳥居】
明治時代中期の1887(明治20)に建てられました。青銅製の鳥居としては日本一の大きさだといいます。学校の指導方針なのか生徒たちの自発なのかは分かりませんが、第二鳥居の前を通学路として使う近くのミッション系の中高一貫女子高の生徒の多くが鳥居の前で一礼しているのが印象的でした。

第二鳥居1

第二鳥居3


【神門】
昭和時代前期の1934(昭和9)年に建てられた門で、中央には直径1.5ⅿの菊花紋章が取り付けられています。

神門1

神門2

神門追加1

神門追加2

神門3

神門4


【中門鳥居】
平成時代中期の2006(平成18)年に拝殿の前に建てられた鳥居で、埼玉県産の檜(ひのき)が使われています。

中門鳥居1

中門鳥居2


【拝殿】
寝殿造のように本殿・霊璽簿奉安殿(めいじぼほうあんでん)・拝殿・参集殿・到着殿・元宮・鎮霊社・南門などが回廊で繋がっていて、通常は明治時代後期の1901(明治34)年に建てられた拝殿で参拝します。

拝殿1

拝殿2

拝殿3

拝殿4

拝殿5

参集殿は、個人や団体で正式参拝するための受付や控室で、御朱印なども行っています。
参集殿


【パール博士顕彰碑】
極東国際軍事裁判(→東京裁判)で連合国軍のインド代表判事を務め、裁判官の中でただ1人、被告団全員の無罪とする意見書を提出したラダ・ビノード・パール博士の功績を伝えるため、平成時代中期の2005(平成17)年に建てられました。

パール博士

靖国神社5


【戦没馬慰霊像・鳩魂塔(きゅうこんとう)・軍犬慰霊像】
戦没馬慰霊像は実物大の軍馬の銅像で、戦場で斃れた軍馬の慰霊のため昭和時代中期の1958(昭和33)年に奉納されたものです。「鳩と地球儀」と題した鳩魂塔は伝令として戦場で活躍した伝書鳩の慰霊のため昭和時代後期の1982(昭和57)年に奉納されたものです。軍犬慰霊像は戦場で活躍したジャーマン・シェパードの銅像で、平成時代前期の1992(平成4)年に奉納されました。

軍馬像

軍犬像1

軍犬像2


【能楽堂】
明治時代前期の1881(明治14)年に芝公園(→東京都港区)に建てられたもので、明治時代後期の1903(明治36)年に靖國神社に移築・奉納されました。

能楽堂


【靖國の桜】
軍歌「同期の桜」の歌詞にもありますが、靖國神社には約500の桜の木があり、どの多くがソメイヨシノや山桜の品種です。毎年、東京管区気象台が靖國神社にあるソメイヨシノの標本木を調べて開花を発表しています。桜のシーズンはとても綺麗です。

靖國の桜



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コメント

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Re: 想像と違ってました

>えまみさん

コメントありがとうございます。
終戦の日の8月15日には穏やかでない人々もいますが、普段の日は静かな神社です。資料館もあり60分コースや120分コースなど選べますのでゆっくりと見学できますし、お土産コーナーや食事処もあり、参拝しないで資料館だけを楽しむこともできます。

想像と違ってました

靖國神社ってもっと右翼っぽい人が多くて怖い所だと思い込んでいましたi-229i-201
反省しましたi-183i-201
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