fc2ブログ

法雲寺(神奈川県川崎市麻生区)を訪問しました

高石山 法雲寺(→神奈川県川崎市麻生区高石2丁目)は、安土桃山時代に武田遺臣で徳川氏の旗本となった武田一族の加賀美正光が開基し、僧の誉心が開山したと伝わる臨済宗(→現在は曹洞宗)寺院です。加賀美正光高石神社(→神奈川県川崎市麻生区高石)を創建した人物ととしても知られます。法雲寺は、明治時代の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)でいったん廃寺になり、昭和時代前期の1940(昭和15)年に曹洞宗寺院として再興されました。

さて、法雲寺は寺伝によると平安時代末期に後白河法皇の皇女である笹子姫鹿ケ谷の陰謀(→1177年に後白河法皇とその院の近臣らが京都東山の僧・俊寛の山荘で平氏打倒計画を立てたが露見し、一味が処罰された事件)で、平清盛の厳しい抑圧から逃れるために従者とともに高石に流れ着き、高石村を開き、笹子姫から無事の知らせが届くと後白河法皇は姫の安泰を祈願して阿弥陀如来像(→川崎市重要文化財)を送り届け、それを安置するために堂宇(→現在の高石山 法雲寺)を建てたと伝わります。その頃は高野山真言宗の末寺だったといいます。しかし、以前に笹子稲荷(→神奈川県川崎市麻生区万福寺3丁目)をご紹介した際にも書きましたが、後白河法皇には6名の皇女が確認されますが、その中に笹子姫に比定される武蔵国に落ち延びた姫は確認できません。 

ただし、本尊阿弥陀如来坐像は、高さ75.5㎝、彫眼(ちょうがん)、寄木造(よせぎづくり)で漆箔が施され川崎市重要文化財に指定された貴重な仏像です。これらは平安時代中期の国風文化の頃に流行した仏像様式で、定朝様式(じょうちょうようしき)と呼ばれています。定朝は関白藤原頼通(ふじわらのよりみち→道長の子)の依頼で平等院鳳凰堂阿弥陀如来像(→京都府宇治市)を作ったことで知られる仏師です。定朝様式の平安仏は、神奈川県内では金剛寺(→厚木市飯山)や証菩提寺(→横浜市栄区上郷町)などにも残されていて、いずれも各市の重要歴史記念物に指定されており、貴重な仏像といえます。



法雲寺は、江戸時代後期の1830(文政13)年に編纂された『新編武蔵風土記稿』橘樹郡高石村の条に次のように記されています。

*****************************
高石村
法雲寺
字本村谷にあり、臨済宗菅村寿福寺の末、天正の水帳(→検地帳)宝音寺といへるは当寺のことなりと云(い)ふ、されどいつの頃寺号を改めしと云(い)ふことを伝へず、高石山と号す、開山誉心は天正十六年(→1588年)正月十二日寂す、開基は加々美才兵衛正光(→加賀美正光)なり、寛永六年(→1629年)2月2日没す、客殿五間に三間半、南向(みなみむき)なり、本尊弥陀は別に三間四方、南向(みなみむき)の堂を作りて安ず、この弥陀は長(ながさ)三尺(→約90cm)余の座長にて行基の作なりと云伝(いいつた)ふ、脇立地蔵勢至、長(ながさ)各二尺(→約60cm)余、行基この弥陀を彫刻のとき諸の腫物の患を平癒せしめんとの誓願により霊験著しくして土人(→地元民)の崇仰大方ならず、縁日は年々二月十五日なり、当寺の本堂の中に古き位牌ある、面に『行福寺殿道巌行禅定門霊位』と題し、背に応永二十六年(→1419年)七月四日と彫る、これは(関東)管領山内の上杉安房守憲基の位牌なりと云(い)ふ、按ずるに上杉系図に安房守憲基は応永二十五年(→1418年)正月四日二十七歳にして卒せり、異本には二十七年(→1420年)正月四日三十四歳にして卒す、『法名宗徳院殿梅印心元』とあり、当寺の位牌にしるす所も亦よる所あるにや、或(あるい)は他人の法謚なるや疑ふべし、又立身の弥陀を彫りたる古碑を本尊の左に安じて香火を供す、年号等もなく其(その)(いわ)れを知らず。

*****************************

【法雲寺の山門】
法雲寺1

法雲寺3

法雲寺4

法雲寺5



【法雲寺の本堂】
神仏習合の名残りで狛犬がいます。
法雲寺6

法雲寺7

法雲寺8

法雲寺9

法雲寺11

法雲寺12



法雲寺14



【法雲寺の阿弥陀如来坐像】
法雲寺15

法雲寺阿弥陀如来坐像2
(画像提供: 川崎市教育委員会)



【法雲寺の七観音霊場】
7体の石造の観音像が安置されています。
法雲寺24

法雲寺26

法雲寺43

法雲寺27

(1) 不空羂索観音菩薩(ふくうけんじゃくかんのんぼざつ)法雲寺28

(2) 聖観音菩薩(しょうかんのんぼさつ)
法雲寺30

(3) 千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ)
法雲寺32

(4) 馬頭観音菩薩(ばとうかんのんぼさつ)
法雲寺34

(5) 十一面観音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ)
法雲寺36

(6) 准胝観世音菩薩(じゅんていかんぜおんぼさつ)
法雲寺38

(7) 如意輪観音菩薩(にょいりんかんのんぼさつ)
法雲寺40



【法雲寺の境内】
高石の神社や寺院は石造物が多いのが特徴です。
法雲寺16

法雲寺17

法雲寺18

法雲寺19

法雲寺20

法雲寺21

法雲寺22

法雲寺23

法雲寺25


山門を出ると茶色のトラ猫が毛づくろいをしていて癒されました。このあと近づいてきて足に頭をこすりつけてきてとても可愛かったです。私は神社や寺院で猫によく遭遇するのですが、猫にとって過ごしやすい環境は人間にとっても過ごしやすい環境だと思います。
法雲寺追加


*******************************
↓↓本山の仙谷山 寿福寺

↓↓高石神社について

↓↓笹子稲荷について


にほんブログ村 歴史ブログ 史跡・神社仏閣へ にほんブログ村 旅行ブログ 旅日記・旅の思い出へ
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

img { pointer-events: none; } img { -webkit-touch-callout:none; -webkit-user-select:none; -moz-touch-callout:none; -moz-user-select:none; touch-callout:none; user-select:none; }