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香林寺(神奈川県川崎市麻生区)を訪問しました

南嶺山 香林寺(→神奈川県川崎市麻生区細山3丁目)は、鎌倉五山第1位の臨済宗建長寺派に属する禅刹で、本尊は十一面観音菩薩像で「身代わり観音」とも呼ばれています。寺紋は建長寺と同様に鎌倉北条氏(→建長寺を開基)の家紋・三鱗紋(みつうろこもん)を使用しています。

香林寺は、戦国時代の1525(大永5)年に仙谷山 寿福寺(→神奈川県川崎市多摩区)の住職・南樹法泉が開山し、慶長年間(1596年~1615年)に山号を南嶺山、寺号を香林寺と定めたと伝わります。開山の折に本堂の観音堂が「香林坊」と呼ばれていたことが安土桃山時代後期の1594(文禄3)年の水帳に記録されており、寺号の由来と考えられます。

創建時の本尊である十一面観音像は、寺の略縁起によると奈良時代後期の776(宝亀7)年に弘法大師空海が彫ったと記されています。ただ、空海は774(宝亀5)年生まれですので様々な超人的伝説を持つ人ですが、さすがに数え年3歳(満2歳)で仏像は彫れないのでは、という疑問が残ります。

この本尊については、江戸時代中期の1764(宝暦14)年の修理の際に胎内から因幡国(いなばのくに→鳥取県東部)からの回国僧(→諸国を行脚する修行僧)である清水長者の身代わり観音である旨が記された文書が発見され、彼の遺品ではないかという説が有力です。

しかし、この本尊は江戸時代後期の1830(文政13)年の火災で焼失されたため、現在は別の十一面観音像を本尊として祀っています。寺伝によると東大寺の廬舎那大仏造立に貢献した奈良時代の高僧・行基の作と伝わりますが、先の空海の伝説同様に伝承を域を超えないと思われます。

香林寺には、江戸時代後期から観世音御夢想最勝散という薬が作られていて、その効能書きを刻んだ木版が残されています。そこには「最勝散は観世音菩薩の功徳により神奇妙用記するに暇(いとま)なし」と書かれています。要するに、何にでも効くということらしいです。昨日ご紹介した吹き出物や排泄の病気に苦しみ細山神明社に絵馬を奉納したり蛤を捧げた人々は、この薬を飲んだうえで神頼みをされたのでしょうか。薬の効能には個人差があるようです。

香林寺の見所の1つは麻生区内の寺院で一番美しいと評判の五重塔と、高台からの綺麗な景観、さらには「かんのん道」に配された45体以上の観音像だと思います。麻生区の神社・寺院は石造物が多いのが特徴ですが、香林寺も多くの檀家さんから寄進された数多くの観音像があり、地元の信仰の中心地であったことが窺えます。



【香林寺の山門】
香林寺山門1

香林寺山門2

香林寺山門3

香林寺山門4

香林寺山門5

香林寺山門6

香林寺山門7

香林寺山門8



【香林寺の本堂】
香林寺本堂1

香林寺本堂2

香林寺本堂3

香林寺本堂4

香林寺本堂5

香林寺本堂6

香林寺本堂7

香林寺本堂8

香林寺本堂9

香林寺本堂10

香林寺本堂11



【香林寺の五重塔】
香林寺五重塔1

香林寺五重塔2

香林寺五重塔3

香林寺五重塔4

香林寺五重塔5

香林寺五重塔6

香林寺五重塔7

香林寺五重塔8

香林寺五重塔9

香林寺五重塔10

香林寺五重塔11

香林寺五重塔12

香林寺五重塔13



【香林寺の梵鐘】
香林寺梵鐘1

香林寺梵鐘2

香林寺梵鐘3

香林寺梵鐘4

香林寺梵鐘5



【かんのん道】
本堂から五重塔に向かう道は45体以上観音像で埋め尽くされていて見事です。檀家さんが寄進した観音像も多くありました。
かんのん道

かんのん道1

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かんのん道41

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かんのん道44



【(聖徳)太子堂】
聖徳太子堂1

聖徳太子堂2


【香林寺の境内】
香林寺本堂12

香林寺本堂13

香林寺境内1

香林寺境内2

香林寺境内3

香林寺境内4

香林寺境内5

香林寺境内6

香林寺境内7

香林寺境内8

香林寺境内9

香林寺境内10

香林寺境内11

香林寺境内12

香林寺境内00

香林寺境内0

香林寺境内13

香林寺境内14




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山門入口にはコロナ禍らしくマスクを着用した地蔵尊が並んでいてホッコリします。お地蔵さん密集しているので第7波に備えて大切な感染予防策です。

香林寺の地蔵1

香林寺の地蔵2

香林寺の地蔵3

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↓↓巨福山 建長寺について

↓↓江戸時代に本山であった仙谷山 寿福寺


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コメント

非公開コメント

ありがとうございます

うおおおおおおおスゴイですe-2e-451
写真で教えていただいた(1)から(6)を
全部確認できましたe-465
八角堂もネットで見てみましたが
禅宗様式の特徴と違う所とか
分かるようになりましたe-446e-460

Re: 香林寺の五重塔

>なおさん

コメントありがとうございます。写真をお褒めいただきありがとうございます!

禅宗様式の特徴はいくつもあるのですが、パッと見て分かりやすいのは、

(1)屋根に強い反りがある
(2)扉が桟唐戸
(3)柱は丸柱で柱の下にそろばん玉のような礎盤がある
(4)弓欄間(火焔欄間)がある
(5)窓が釣鐘型の花頭窓
(6)軒下に三手先の組物を密にした詰組

などです。香林寺五重塔の一層・二層の写真を見ていただきますとそれらの特徴を全て見てとることができます。


禅宗寺院の伽藍配置(→講堂や山門・塔などの配置)では本堂の後山に塔を建てることが多いのですが、現在の鎌倉五山(→建長寺・円覚寺・寿福寺・浄智寺・浄妙寺)を含め、中世に建立された禅宗寺院の塔のほとんどが火災などで失われています。鎌倉時代後期に鎌倉北条氏(→極楽寺流北条氏の傍流の塩田流北条氏)が建立した長野県上田市別所温泉にある曹洞宗安楽寺八角三重塔(→国宝)は現存していますが、修復の過程で和様などの様式が取り入れられているので純然な禅宗様ではなくなっています。香林寺五重塔は復元ではありますが、純然な禅宗様式を学べる貴重な建築物だと思います。


香林寺の五重塔

香林寺の観音道や五重塔、すっごく写真がきれですねe-94e-420
ところで質問があるのですが、お寺のガイドブックに
香林寺の五重塔は日本唯一の禅宗様式の搭と書いてある
のですが、禅宗様式を見分けるポイントとかあります
でしょうかe-3e-68
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