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九品寺(神奈川県鎌倉市)を訪問しました

内裏山 霊嶽院 九品寺(くほんじ→神奈川県鎌倉市材木座5丁目)は、1333(元弘3)年5月22日に鎌倉幕府を滅ぼした新田義貞が、敵方であった北条氏の戦死者を供養するために、1336(建武3)年に僧の風航順西を開山として、材木座に建立したと伝わる浄土宗寺院です。

山門の「内裏山」、本堂の「九品寺」の文字は新田義貞の筆を写したものと伝わります。寺号にもなっている「九品(くほん)」とは、浄土宗の教えで極楽往生するときの9つの階級(→上品・中品・下品、さらにそれぞれ上生・中生・下生に分けた9区分)を表します。

九品寺は室町時代に戦乱で衰退しますが、僧の卓弁によって中興されたようです。江戸時代には本山・末寺の制により、天照山 蓮華院 光明寺(→神奈川県鎌倉市材木座6丁目)の末寺として幕藩体制の一翼を担いました。

鎌倉市内の残る唯一の新田義貞が開基した寺院ですが、創建時の堂宇などは大正時代後期の1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災で全壊したため、現在の建物はその後建て直されたものになります。


九品寺は、江戸時代後期の1841(天保12)年に編纂された『新編相模風土記稿』鎌倉郡乱橋村の条に次のように記されています。

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乱橋村
九品寺
内裏山霊嶽院と号す、浄土宗、材木座村光明寺末、三尊の弥陀を本尊とす、中興を卓弁と伝へり。

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【九品寺の山門】
九品寺の山門1

九品寺の山門2

九品寺の山門3

九品寺の山門4

九品寺の山門5

九品寺の山門6



【九品寺の参道】
九品寺の参道1

九品寺の参道2

九品寺の参道3



【九品寺の本堂】
九品寺の本堂1

九品寺の本堂2

九品寺の本堂4

九品寺の本堂5



【九品寺の内陣】
九品寺の内陣1

九品寺の内陣2

九品寺の内陣3

九品寺の内陣4



【九品寺の境内】
九品寺の境内1
(寺紋は新田氏の家紋「新田一つ引」)
九品寺の境内2

九品寺の境内3

九品寺の境内4

九品寺の境内5

九品寺の境内6

九品寺の境内7

九品寺の境内8


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〖新田義貞研究の進展〗
近年、新田義貞研究は大きく進展し、その最大のものは「足利一門・新田義貞」の再発見です。太平記史観により、長らく新田義貞は足利尊氏と並ぶ「源氏の嫡流」として語られることが多かったですが、実際には源氏の嫡流どころか「足利庶流」に過ぎなかったことが判明したのです。

もともと、新田義貞は鎌倉時代後期に北条氏に所領を売却して無息御家人(→土地を持っていない御家人)と認識されていたことや、北条氏から名前を誤認される程度の存在であったことが指摘されていましたが、平成年間には、➀新田氏と足利氏は並立する存在ではなく、両者をライバル視するという発想がそもそもおかしい、➁両者は異なる一族ではなく、鎌倉時代中期には足利氏に半ば吸収されその庶流と見なされていた、ことが解明されました。

加えて、元服の際の烏帽子親(えぼしおや)・烏帽子子(えぼしご)関係の研究も進み、足利氏の嫡男の元服は、北条氏の得宗(→北条氏の家督)を烏帽子親として一字拝領(→偏諱)を受け、正室を北条氏一門の女性から迎えていたのに対し、新田氏は足利氏の家督を烏帽子親として一字拝領(→偏諱)を受けていたことが判明し、新田氏が足利氏に従属していたことが明らかになりました。

例をあげると、足利貞氏(→尊氏の父)の「貞」は、烏帽子親の得宗北条貞時(→9代執権)の偏諱ですが、新田義貞の「貞」は、烏帽子親の足利貞氏の偏諱です。足利高氏(→鎌倉時代までの尊氏)の「高」は、烏帽子親の得宗北条高時(→14代執権)の偏諱ですが、のちに後醍醐天皇(→実名は尊治)の偏諱を受けて「尊氏」に改名しています。

新田義貞像2
新田義貞像(分倍河原駅前)

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↓↓金龍山 釈満院 円頓宝戒寺について 

↓↓東照寺跡・北条高時腹切りやぐら

↓↓江戸時代に本山であった天照山 蓮華院 光明寺


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